分割モーターコアとは?
ここでは分割モーターコアの基礎的な知識と、試作が断られやすい理由、依頼先選び・コストを抑えるコツを解説します。
分割モーターコアとは?一体コアとの違い
分割コアの構造と主なタイプ(分割型・連結型)
モーターのステータコアは、大きく「一体コア」と「分割コア」に分けられます。一体コアは、電磁鋼板を円環状に一体で打ち抜いたコアです。展開できないため、巻線ノズルをスロット内に直接差し込んで銅線を巻きます。一方の分割コアは、ティース(銅線を巻く歯の部分)ごとに鉄心を分けたコアや、一部をつなげたまま分割したコアのことです。
分割コアには、ティースごとに完全に切り離す「分割型」と、隣り合うブロックを一部つないだ「連結型」があります。連結型の代表例が「ポキポキモータ」です。一部つながった鉄心をブロックごとに分割して直線状に並べ、高密度に巻線した後に円筒状に戻して組み立てます。1993年のブロック型に始まり、1995年に直線型、1998年に関節型へと改良が進みました。
参照元:電気学会「でんきの礎」連結鉄心による高密度巻線モータ~ポキポキモータ~(https://www.iee.jp/file/foundation/data02/ishi-16/ishi-0809.pdf)
分割コアのメリット・デメリット
分割コアの最大のメリットは、銅線を巻きやすく、高密度な巻線ができる点です。一体コアは内側からノズルで巻くため、製品内にノズルの通り道が残り、高密度な巻線ができません。分割コアならこのスペースが不要です。1995年のACサーボモータでは、従来65%程度だった巻線密度を95%まで高めています。
一方、デメリットは組立の手間と精度確保の難しさです。分割したコアの並べ替え、溶接、巻線の結線など手作業に頼る工程が多く、生産性が下がりがちです。溶接後の真円度の確保も、分割コアの従来からの課題といえます。
ただし、高精度なコア構造を得るには一体コアが有利です。分割コアはモーターとしての精度がやや落ちやすく、設計シミュレーション通りの数値が出にくい点もあるため、その点を理解したうえで採用を判断しましょう。
参照元:電気学会「でんきの礎」連結鉄心による高密度巻線モータ~ポキポキモータ~(https://www.iee.jp/file/foundation/data02/ishi-16/ishi-0809.pdf)
参照元:中小企業庁「分割コア連続巻線方式による高性能モーター用ステーターの製造法に関する研究開発」研究開発成果等報告書概要版(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/portal/seika/2011/23441912029.pdf)
参照元:MONOist(https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2303/23/news069_2.html)
参照元:特注シム製造センター.com(https://www.shim-manufacturing-center.com/column/分割モーターコアとは?メリット・デメリットに/)
分割モーターコアの試作が断られやすい理由
分割モーターコアの試作が断られやすいのは、「分割片1個ごとの寸法精度」と「組み立てた後の真円度」の両方が求められるためです。精密な金型や積層技術を持つメーカーでなければ、対応が難しくなります。
組み立て後の真円度は、分割コア個々の内径精度、溶接治具の真円度、各コアの押さえ方や押圧力など、多くの条件に左右されます。そのため、分割片の段階から高い精度が欠かせません。
たとえば、T字コアを6個連結した状態で積層する連結型コアでは、直角度・平行度ともに0.05mm以内の精度が求められます。この精度を出すには、精密な金型製造技術が必要です。
さらに、大手モーターコアメーカーは積層一体コアの量産が中心で、特殊な形状や対応が必要な分割コアに対応していないケースがあります。断られた場合は、分割コアの試作実績を持つ専門メーカーに相談するのが近道です。
参照元:イプロスものづくり(https://mono.ipros.com/product/detail/2000624166/)
分割モーターコアの試作方法とコストを抑えるポイント
金型を使わない試作(接着積層+ワイヤーカット)
少量の試作では、金型を使わない「接着積層+ワイヤーカット」がよく用いられます。電磁鋼板をあらかじめ接着して積層ブロックにし、ワイヤーカットで分割形状に切り出します。T字のステータを「-」と「I」の形状に分割加工し、I形状の鉄心にボビンを装着して平角線を巻いた事例もあります。
公差が厳しい部分にワイヤーカットを3回行い、精度を高める場合もありますが、プレス加工と違って加工側面に酸化被膜が発生する点には注意が必要です。分割コアを手がけるメーカーの中には、試作段階の積層方法の7〜8割が接着積層だとするところもあります。
参照元:イプロスものづくり(https://mono.ipros.com/product/detail/2000624170/)
参照元:特注シム製造センター.com(https://www.shim-manufacturing-center.com/case/分割ステータコア-2/1581/)
参照元:特注シム製造センター.com(https://www.shim-manufacturing-center.com/column/分割モーターコアとは?メリット・デメリットに/)
試作金型・プレス型内積層による試作
サイズが大きいコアや数量が多い試作では、試作金型(仮型)を製作してプレスで打ち抜く方法が適しています。φ250mmのステータコアでは、ワイヤーカットだと時間も費用も膨大になるため、試作金型を製作してプレス加工で仕上げた事例があります。
仮型の利点は、量産型に近い高い精度を出せることです。最短3週間でサンプルを納入した実績を持つメーカーや、試作型による小ロット生産に対応するメーカーもあります。量産と同じ工法で特性を確認したい場合は、仮型による試作を検討しましょう。
参照元:イプロスものづくり(https://mono.ipros.com/product/detail/2000632516/)
参照元:イプロスものづくり(https://pr.mono.ipros.com/takamori/product/detail/2001518899)
試作コストを抑える依頼のコツ
試作コストを抑えるコツは、最初に「試作の目的・サイズ・数量」を伝え、工法をメーカーに選んでもらうことです。
- 試作の目的:形状確認だけが目的なら、電磁鋼板ではなくSECC材を使い、ワイヤーカットで短納期に製作した事例があります。特性評価が目的なら、実際に使う材料で製作します。
- サイズ・数量:量産を見据える場合は仮型、小ロットならワイヤー加工というように、条件に応じて工法を使い分けます。
- 相談のタイミング:設計段階から相談すれば、過去の加工データに基づくコストダウン提案を受けられます。
元請けや社内に費用を説明するときも、「試作の目的に合わせて工法を選んだ」と根拠を示せば、見積もりの妥当性を伝えやすくなります。
参照元:イプロスものづくり(https://mono.ipros.com/product/detail/2000632520/)
参照元:イプロスものづくり(https://pr.mono.ipros.com/takamori/product/detail/2001518899)
分割モーターコアの試作に対応できるメーカー
飯島精機(特注シム製造センター)
他社で対応できないと言われた分割モーターコアの試作は、飯島精機に相談するのがおすすめです。大手メーカーが対応しにくい特殊形状の分割コアを、試作から量産まで一貫して受けています。製造ノウハウを生かして適切な製造方法を提案し、分割コアは約4週間で製作します。
ドローンメーカーの事例では、分割コアの接着積層に対応できる企業を探していた顧客から相談を受けました。多数の分割コアを組み合わせて多角形状にした特殊形状のコアを、パーメンジュール材の接着積層で試作しています。複雑な形状や、試作から量産手前までの中ロットにも小回りよく対応します。
量産品にも実績があります。50A300材を使った25×20×20mmの分割ステータコアは、プレス型内積層・公差±0.05mmで製作しました。T字コアを6個連結した状態で積層する連結型コアも手がけています。得意分野は、モータコア向けの型内積層・接着積層と、極限までバリを抑えた精密金型の設計・製作です。
参照元:特注シム製造センター.com(https://www.shim-manufacturing-center.com/column/分割モーターコアとは?メリット・デメリットに/)
参照元:特注シム製造センター.com(https://www.shim-manufacturing-center.com/case/ドローン用-分割積層モーターコア-試作開発-2/1148/)
参照元:イプロスものづくり(https://mono.ipros.com/product/detail/2000624167/)
参照元:イプロスものづくり(https://mono.ipros.com/product/detail/2000624166/)
参照元:イプロスものづくり(https://mono.ipros.com/company/detail/7176/)
タカモリ
タカモリは、接着ワイヤー加工とプレス仮型の両方で試作に対応するメーカーです。ワイヤー加工は最短3日、仮型は最短3週間でサンプルを納入した実績があります。量産なら仮型、小ロットならワイヤー加工と、条件に合った工法を提案します。ステータコアやローターコアの試作型による小ロット生産に加え、絶縁塗装を含むアニール処理などの2次処理にも対応しています。
参照元:イプロスものづくり(https://pr.mono.ipros.com/takamori/product/detail/2001518899)
まとめ
分割モーターコアの試作は、分割片の精度と組立後の真円度を両立する技術が必要なため、断られることがあります。依頼前に試作の目的・サイズ・数量を整理し、工法を提案してくれる専門メーカーに設計段階から相談しましょう。試作から量産まで一貫して任せたい場合は、分割コアの実績が豊富な飯島精機が心強い選択肢です。
モーターコアメーカー
おすすめ3選
「小ロットで依頼したら断られた…」という会社のために、小ロット試作から量産まで対応しているモーターコアメーカーを厳選。なお、品質担保の観点から、国際的な品質マネジメント規格「ISO9001」取得済みの、信頼できる会社のみをピックアップしています。
コストや個数に応じて
適切な加工法を提案する
- 4つの積層方法から、求められるコストや個数に応じて加工
- 量産要望にも、工数を減らす金型でコストダウンへつなげる
- 主な用途
- 自動車/電気製品/ロボットなど
モーターの効率化に繋がる
難加工素材に対応する
- 加工が難しいアモルファスやパーメンジュールに対応
- 特殊鋼素材の調達ネットワークで用途に合わせた素材を調達
- 主な用途
- 航空機/モータースポーツ/医療機器など
豊富な設備を取り揃え
大型のモーターコアを製作する
- 外径1,300㎜までのモーターコアにも対応
- 顧客の要望に応えるため、新たな設備を積極的に導入
- 主な用途
- 自動車/電気製品/ロボットなど
※選定基準:Google検索で、「モーターコア」及び「積層コア」と検索した際に表示される31社を調査(2022年4月11日調査時点)。その中から、下記の基準に沿って選出しています。
- 飯島精機…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、コストや個数に合わせて選択できる加工方法が最も豊富(4種類)
- 守谷刃物研究所…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、アモルファスとパーメンジュールの加工事例の掲載が最も多い
- 城山産業…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、最も大きな外径の製品まで対応してくれる
