モーターコアにおけるバリのリスク
「バリ」はモーターコアの性能や品質に大きな影響を与えます。本記事では、バリの基礎知識とともに、製造現場での具体的な対策について解説します。
「バリ」とは?
プレス加工や金型抜き加工などの工程で、材料の端に意図せず発生する突起やめくれを「バリ」と呼びます。刃の摩耗や圧力の不均一によって生じやすく、目に見えない微細なバリも存在します。
モーターコアのような高精度部品では、バリが磁気特性や寸法精度に悪影響を及ぼすおそれがあるので、設計段階からの対策と加工後の適切な除去が不可欠です。
モーターコアのバリによるリスク
モーターコアにバリが残っていると、積層間の絶縁不良やコアロスの増大を引き起こす可能性があります。結果、発熱や効率低下へとつながり、モーター全体の性能に悪影響を及ぼしかねません。
また、バリが原因で寸法精度が損なわれたり、組立工程で部品を傷つけたりするケースもあるので、設計から加工・検査に至るまでの総合的な対策が必要です。
バリを防ぐための一般的な対策は?
金型管理とプレス条件の最適化
バリの発生を防ぐ基本は、金型の状態管理です。刃の摩耗やクリアランスの乱れがあると、材料のめくれや突起が生じやすくなるので注意してください。
また、板厚や材質に応じて適切なプレス条件を設定しなければ、バリが生じやすくなります。設計段階からの対策が重要です。
加工後の処理と新技術の導入
加工後には、面取りやバレル研磨、バリレスプレスなどの除去処理が一般的に行われます。また近年では、レーザー加工や放電加工などの非接触方式の導入も進んでいます。精度要求や工程に応じ、複数の手法の組み合わせも有効です。
モーターコア製造メーカーが行っているバリ対策
バリレスプレス(飯島精機)
自社を代表する独自技術「バリレスプレス」によって、モーターコアをはじめとする精密部品のバリ対策を実施しています。
「バリレスプレス」とは、極限までバリが発生しないように設計されたプレス金型を用いたせん断加工技術です。製品の種類や板厚を問わず、あらゆる条件下で適用できます。
対策の柱は、適正なクリアランスを設計段階から緻密に設定すること、金型を構成する部品を高精度に加工すること、そしてその部品を極めて高い精度で組み込むことの3点です。特に金型組み込みについては、豊富なノウハウに基づき、設計通りの状態を実現することに注力しています。
これら一貫した技術力を通じ、加工後のバリ除去工程を必要としない高精度なモーターコアを安定供給します。
手作業でのバリ取り(松山精機)
松山精機では、レーザー加工時のバリ発生を抑えるため、蓄積された加工データに基づき最適な切断条件を採用。コーティングや製品表面を傷つけないよう、熟練の職人が手作業で丁寧に作業を行っています。
モーターコアメーカー
おすすめ3選
「小ロットで依頼したら断られた…」という会社のために、小ロット試作から量産まで対応しているモーターコアメーカーを厳選。なお、品質担保の観点から、国際的な品質マネジメント規格「ISO9001」取得済みの、信頼できる会社のみをピックアップしています。
コストや個数に応じて
適切な加工法を提案する
- 4つの積層方法から、求められるコストや個数に応じて加工
- 量産要望にも、工数を減らす金型でコストダウンへつなげる
- 主な用途
- 自動車/電気製品/ロボットなど
モーターの効率化に繋がる
難加工素材に対応する
- 加工が難しいアモルファスやパーメンジュールに対応
- 特殊鋼素材の調達ネットワークで用途に合わせた素材を調達
- 主な用途
- 航空機/モータースポーツ/医療機器など
豊富な設備を取り揃え
大型のモーターコアを製作する
- 外径1,300㎜までのモーターコアにも対応
- 顧客の要望に応えるため、新たな設備を積極的に導入
- 主な用途
- 自動車/電気製品/ロボットなど
※選定基準:Google検索で、「モーターコア」及び「積層コア」と検索した際に表示される31社を調査(2022年4月11日調査時点)。その中から、下記の基準に沿って選出しています。
- 飯島精機…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、コストや個数に合わせて選択できる加工方法が最も豊富(4種類)
- 守谷刃物研究所…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、アモルファスとパーメンジュールの加工事例の掲載が最も多い
- 城山産業…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、最も大きな外径の製品まで対応してくれる