鉄芯道場
~縁の下の力持ち、モーターコアで拓く未来~

モーターコアの占積率とは

本記事では、モーターコア製造における「占積率」の定義と、主要な積層方法である「カシメ積層」「接着積層」の違いについて解説します。

占積率とは?占積率の高さがモーターの性能に関わる理由は?

占積率とは、モーターコア(鉄心)の体積に対し、実際にどれだけの「鉄(電磁鋼板)」が詰まっているかを示す割合のことです。

モーターの性能は、コア内部を通る磁束の量に大きく影響されます。占積率が高ければ高いほど、隙間なく鉄が詰まっている状態となり、磁気の通り道が確保されるため、モーターのエネルギー効率や出力トルクが向上します。

逆に、積層間に隙間が多い(占積率が低い)と、磁束密度が低下し、意図した性能が出せない原因となります。そのため、高性能なモーターを設計・製造するためには、いかにこの占積率を高めるかが重要なカギとなるのです。

占積率の高い積層加工方法について

高い占積率を実現し、モーター性能を引き出すための積層方法として、代表的な「接着積層」と「カシメ積層」について解説します。

接着積層とは

接着積層とは、電磁鋼板の表面に接着剤を塗布して鋼板同士を固着し、積み上げる方法です。板全体を接着するため、積層間の結合が強く、振動に強いという特徴があります。

この工法の最大のメリットは、後述するカシメ積層のような物理的な結合部(ダボ)を持たない点。そのため、鋼板に不要な応力(ストレス)がかからず、モーター本来の特性を最大限に引き出すことが可能です。

特に、薄い電磁鋼板を使用する場合や、医療機器・高機能モーターなどの高精度が求められる分野で採用されています。

カシメ積層とは

カシメ積層は、プレス加工時に鋼板に凹凸(ダボ)を設け、それをはめ込むことで物理的に結合する方法です。プレス金型内で自動的に積層まで行えるため、生産速度が非常に速く、低コストで大量生産が可能です。

一般的に、ダボの形状によって積層間にわずかな隙間が生じやすいとされていますが、近年では高度な金型技術により、カシメ積層であっても高占積率(隙間が少ない状態)を実現するメーカーも登場しています。そのほか、カシメと溶接を組み合わせることで、強度や生産効率をさらに改善する手法も存在します。

接着積層・カシメ積層ではどちらが占積率が高い?

一般論として、構造上の制約が少ない「接着積層」の方が、理想的な占積率を追求しやすい傾向にあります。

カシメ積層は、結合のためのダボ形状が必要となるため、その部分の変形や隙間が占積率に微細な影響を与える可能性があります。一方で接着積層は、接着剤の層は極めて薄く、全面を均一に密着させることができるため、理論上の占積率を高めやすく、磁気特性(鉄損の低減など)の向上にも寄与します。

ただし、前述の通りカシメ積層の技術進化も著しく、依頼する製造会社の技術力によっては、カシメ方式でも十分な高占積率を達成できる場合があります。

積層加工方法の選び方

目的とするモーターの用途や予算に合わせて、適切な積層方法を選ぶ基準を以下に示します。

より高精度・高効率を追求するなら「接着積層」

「コストよりも性能を最優先したい」「試作段階で高スペックを確認したい」という場合は、接着積層が推奨されます。

【推奨ケース】

接着積層は、積層に多くの時間を要するためコストは高くなる傾向がありますが、丁寧な積層によりモーター特性が向上します。そのほか、プレス加工による残留応力の影響を避けたい場合や、極薄の電磁鋼板を使用したい場合にも適した工法です。

家電用などコストを抑えたモーターは「カシメ積層」

「ある程度の性能を維持しつつ、大量生産でコストを抑えたい」という場合は、カシメ積層が適しています。

【推奨ケース】

カシメ積層はプレス工程内で完結するため、接着積層やレーザー溶接に比べて圧倒的に低コスト・短納期での供給が可能です。製造会社によっては、高精度なカシメ技術によって高い性能を維持している場合もあるため、量産を見据えた設計であれば、まずはカシメ積層の得意なメーカーに相談することをおすすめします。

 
小ロット試作から量産まで対応している
モーターコアメーカー
おすすめ3選

「小ロットで依頼したら断られた…」という会社のために、小ロット試作から量産まで対応しているモーターコアメーカーを厳選。なお、品質担保の観点から、国際的な品質マネジメント規格「ISO9001」取得済みの、信頼できる会社のみをピックアップしています。

飯島精機
  • 4つの積層方法から、求められるコストや個数に応じて加工
  • 量産要望にも、工数を減らす金型でコストダウンへつなげる
主な用途
自動車/電気製品/ロボットなど

飯島精機の
公式HPで
製品事例を見る

守谷刃物研究所
  • 加工が難しいアモルファスやパーメンジュールに対応
  • 特殊鋼素材の調達ネットワークで用途に合わせた素材を調達
主な用途
航空機/モータースポーツ/医療機器など

守谷刃物研究所の
公式HPで
製品事例を見る

城山産業
  • 外径1,300㎜までのモーターコアにも対応
  • 顧客の要望に応えるため、新たな設備を積極的に導入
主な用途
自動車/電気製品/ロボットなど

城山産業の
公式HPで
製品事例を見る

※選定基準:Google検索で、「モーターコア」及び「積層コア」と検索した際に表示される31社を調査(2022年4月11日調査時点)。その中から、下記の基準に沿って選出しています。

  • 飯島精機…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、コストや個数に合わせて選択できる加工方法が最も豊富(4種類)
  • 守谷刃物研究所…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、アモルファスとパーメンジュールの加工事例の掲載が最も多い
  • 城山産業…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、最も大きな外径の製品まで対応してくれる
小ロット~量産まで
試作から依頼できる
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モーターコアメーカー3選