【モーターコアの素材】電磁鋼板の特徴・種類
このページでは、安価な鉄鋼材料として知られる電磁鋼板について、解説しています。特性や種類、製造方法、そして用いられる積層構造やモーターコアなどの情報をまとめました。
電磁鋼板とは?
磁気的性質があり、電気機器の鉄芯材料として用いられる機能材料のことを、電磁鋼材といいます。機能性を高めるため、絶縁被膜というコーティングが施され、さらに磁気特性に悪影響をおよぼす炭素・窒素・硫黄などの不純物が、極限まで低減されています。
添加されている素材が安価であるため、コストパフォーマンスの高さも注目されています。電磁鋼板を用いることで、幅広い種類の電気機器のコンパクト化を実現したり出力を向上させたりすることが可能になります。
電磁鋼板の特性
電磁鋼板がもつ主な特性として、次の3つが挙げられます。
鉄損を小さくする
鉄損とは、電気エネルギーが磁気エネルギーへと変換される際に起こる損失を示す指標のことです。つまり、鉄損が小さければ、省エネになります。
なお、鉄損には、磁化する際に生じる「ヒステリシス損」のほかに、内部の渦電流が原因となって生じる「渦電流損」があります。渦電流損とは、例えば家電のコンセントやPCの充電器などが高温になっている場合に起こっている現象のことです。電流が限界を超えている状態です。
電磁鋼板には、鉄損を低減する特性があります。そのため、電力や磁力を無駄なく利用するのに役立ちます。
透磁率が高い
透磁率が高い電磁鋼板は、磁界を通すことが得意な素材であるといえます。磁界とは、磁石の周囲に存在する磁力の領域のことです。また、磁束とは、磁力の密度のことを意味する概念であると理解しておいてください。そのため、磁石の力が物体に及ぼす強さを示す指標として用いられています。
電磁鋼板は、鉄の中でも透磁性が特に高く、磁界の中の磁束を、より効率的に通すことができる鋼板なのです。
磁気フィールドのコントロールが可能
磁気フィールドを効果的にコントロールできる点も、電磁鋼板の注目すべき特性です。磁気フィールドとは、磁気の力が広がる範囲を意味する表現です。電磁鋼板を使えば、磁気の力を思い通りの方向へ集めたり、特定の方向のみに誘導したりすることが可能になります。
電磁鋼板の種類
磁力が向かう方向や状態が異なる2種類の電磁鋼板があります。
磁力が向かう方向が変化する「無方向性電磁鋼板」
無方向性電磁鋼板とは、ほぼ全部の方向に対し、ムラなく磁力が向かうように設計されている鋼板のことです。さまざまな方向への磁化が可能である特性を活かし、モーターを安定的に稼働させるための鋼材として使用されています。モーターは回転を続けるため、磁気の方向も変化し続ける必要があるのです。
モーターが自動車や家電、産業用ロボットなど、多岐にわたる分野で使用されていることを考えると、無方向性電磁鋼板は、生活を支える基板のひとつになっているといっても過言ではありません。
磁力が特定の方向に向く「方向性電磁鋼板」
方向性電磁鋼板は、磁化しやすい結晶の向きを統一することで、決まった方向にのみ磁力が向かうように製造されています。特定方向にのみ磁気の流れが集中する、電力用変圧器や配電用変圧器などに適した特性です。供給された電力を無駄なく活用できるようになります。
電磁鋼板の製造方法は?
圧延(熱間圧延・冷間圧延)および熱処理(焼鈍)を、鋼に施して電磁鋼板を製造します。完成した電磁鋼板は、製品に合う形状に加工され、さらにコイルと組み合わされた状態で出荷されます。
圧延の方法
【熱間圧延】
再結晶温度よりも高い温度で鋼片を圧延します。
【冷延圧延】
薄い鋼板に圧延します。熱を加えない環境で行います。
熱処理の方法
【焼鈍1】
高温状態をキープした後に、少しずつ冷ましていくことで、圧延によって生じた歪を取り除きます。なお、無方向性電磁鋼板の場合は、鋼板面の結晶方位を、揃えるのではなくランダムになるように温度条件などを適切にコントロールします。
【焼鈍2】
方向性電磁鋼板のみ行います。すぐれた磁気的性質を有する結晶だけを成長させて、方向性を整えます。
電磁鋼板に用いられる積層構造について
渦電流が原因となって生じる、鉄心の電気抵抗によるエネルギー損失を回避するため、電磁鋼板には、積層鉄心が用いられます。積層鉄心は、絶縁被膜でコーティングが施された、複数枚の薄い鉄板が積み重なる構造になっています。一般的に鉄板の積層には、低損失かつ飽和磁束密度が高い、薄いケイ素鋼板が用いられています。
なお、積層鉄心が渦電流損を防ぐのは、次のような理由によるものです。
渦電流損は、磁束密度・板厚・電源周波数の2乗に比例するので、これらを抑制することが、すなわち損失対策になります。そのため、上述のような、薄くて導電率の低い素材を重ねる必要があるのです。
電磁鋼板が多く用いられるモーターコアとは
モーターコアとは、ステータやロータの鉄心部分に該当する部品のことです。コア、つまり鉄心は、モーターの性能を左右する構成要素であり、磁束の通路となっています。導線をコイル状に巻き、電流を流して磁界を発生させるものであるため、鉄心を入れると強い磁力が生じるのです。
そして、モーターコアの材料として活用されているのが、電磁鋼板です。材料として安価であることが、広く用いられる大きな理由となっています。
モーターコアメーカー
おすすめ3選
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コストや個数に応じて
適切な加工法を提案する
- 4つの積層方法から、求められるコストや個数に応じて加工
- 量産要望にも、工数を減らす金型でコストダウンへつなげる
- 主な用途
- 自動車/電気製品/ロボットなど
モーターの効率化に繋がる
難加工素材に対応する
- 加工が難しいアモルファスやパーメンジュールに対応
- 特殊鋼素材の調達ネットワークで用途に合わせた素材を調達
- 主な用途
- 航空機/モータースポーツ/医療機器など
豊富な設備を取り揃え
大型のモーターコアを製作する
- 外径1,300㎜までのモーターコアにも対応
- 顧客の要望に応えるため、新たな設備を積極的に導入
- 主な用途
- 自動車/電気製品/ロボットなど
※選定基準:Google検索で、「モーターコア」及び「積層コア」と検索した際に表示される31社を調査(2022年4月11日調査時点)。その中から、下記の基準に沿って選出しています。
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