EV用モーターコアのトレンドについて
EVの航続距離延伸や高出力化において、駆動モーターの心臓部である「モーターコア」の技術革新が急務となっています。本記事では市場の要求と、電磁鋼板の加工限界を突破する技術、さらには注目を集める次世代コア素材の量産・共同開発のトレンドを解説します。
拡大するEV用駆動モーターコアの市場規模と設計要求
EV市場の急拡大に伴い、駆動モーターコアのグローバル市場規模は2025年の4,377百万米ドルから2026年には5,147百万米ドルへ拡大し、2032年には10,855百万米ドル(2026〜2032年のCAGR13.2%)に達すると予測されます。車両の加速性能やエネルギー効率、静粛性を左右する重要部品であるため、設計現場には高効率化、軽量化、低騒音化の要求が一層強まっています。アジア太平洋での需要急増や欧州の環境規制、北米のインフラ整備など、地域ごとの政策動向も市場成長を後押ししており、材料選定と設計精度が競争力の中核となっています。
引用元:NEWSCAST|【最新版2026】自動車用駆動モーターコア市場規模予測:シェア分布、企業動向、成長機会(https://newscast.jp/news/8675505)
【電磁鋼板】薄板化に伴う超精密金型とプレス加工技術の進化
0.1mm級超薄板の高速積層と残留応力対策
高周波時の渦電流損抑制へ0.1mm級薄板化が進む一方、剛性不足による座屈や歪みが課題です。克服には金型内の熱変位を抑える構造やμm単位の精度を保つ高剛性微細送り機構が必要です。また打ち抜き時の残留応力は透磁率を低下させるため、最適なクリアランス設計により切断端面のダメージを最小限に抑えることが不可欠です。
参照元:長瀬産業株式会社|モーターコア高効率化の限界突破 金型とプレスのシンクロニシティ(https://division.nagase.co.jp/mobilitysolutions/case-studies/motorcore-2/)
金型とプレス機の動特性を最適化する「シンクロニシティ」
設計意図を正確に再現するため、金型とプレス機を一つのシステムとして最適化する「シンクロニシティ」の思想が不可欠です。試作時のバリや占積率不足、積層ズレに対し、現場の解析結果を即座に金型設計へ反映する「フィードバックループ(DfM)」が、開発リードタイム短縮と定格出力向上に寄与します。打ち抜いた電磁鋼板の精度が性能に直結するため、高精度な金型やプレスへの需要は非常に底堅い状況です。
【次世代素材】鉄基アモルファス合金と高Bs新素材の量産トレンド
鉄損を従来の1/10以下に抑えるアモルファス合金は、硬く打抜きが困難な難問でした。これをネクストコアテクノロジーズ等の国内中小企業連合が独自のプレス技術で克服し、100万ショット以上の連続打抜きと占有率94%での量産化に成功。モーターを30%小型化するこの新素材へ2026年3月にデンソーが出資し、次世代向けの共同開発が加速しています。
参照元:自動車情報誌「ベストカー」|クルマ用モーターに革命を起こす!! 超高効率モーターコアで世界と勝負する企業が現れた件(https://bestcarweb.jp/feature/column/1391754)
参照元:エミダスマガジンWEB|鉄基厚板アモルファス、さらに世界初の高Bs低鉄損コア材「HLMET®( ヘルメット )」がモータの未来を変える 日本の中小企業3社が力を合わせて、技術変革に挑む(https://emidas-magazine.nc-net.com/industry/10059/)
高Bs・高トルクを実現する新素材「HLMET®」とHREフリー化の意義
アモルファス合金は飽和磁束密度(Bs)が低くトルクが出せない弱点がありましたが、それを克服した高Bs低鉄損コア材「HLMET®」が登場し、EVに適した高トルク確保が可能となりました。また、優れた発熱抑制効果により、地政学的リスクや調達課題を抱える中国依存の重レアアース(HRE)の添加が不要となる「HREフリー化」を達成。サプライチェーンの安全性を高める大きなメリットをもたらしています。
まとめ:次世代EVプラットフォームを見据えたコア設計を
EV用モーターコアの技術トレンドは、電磁鋼板の加工限界に挑む「超精密金型・プレスプロセスの垂直統合(シンクロニシティ)」と、鉄損を極限まで抑える「アモルファス系新素材の社会実装」の二極で進化しています。
熱処理による結晶化で容易に分離・再利用できる優れたリサイクル性や、地政学リスクを低減するHREフリー対応など、高性能化と環境対応の両立が不可欠です。走行距離延伸や出力向上など、今後の次世代EVプラットフォームの躍進に注目です。
モーターコアメーカー
おすすめ3選
「小ロットで依頼したら断られた…」という会社のために、小ロット試作から量産まで対応しているモーターコアメーカーを厳選。なお、品質担保の観点から、国際的な品質マネジメント規格「ISO9001」取得済みの、信頼できる会社のみをピックアップしています。
コストや個数に応じて
適切な加工法を提案する
- 4つの積層方法から、求められるコストや個数に応じて加工
- 量産要望にも、工数を減らす金型でコストダウンへつなげる
- 主な用途
- 自動車/電気製品/ロボットなど
モーターの効率化に繋がる
難加工素材に対応する
- 加工が難しいアモルファスやパーメンジュールに対応
- 特殊鋼素材の調達ネットワークで用途に合わせた素材を調達
- 主な用途
- 航空機/モータースポーツ/医療機器など
豊富な設備を取り揃え
大型のモーターコアを製作する
- 外径1,300㎜までのモーターコアにも対応
- 顧客の要望に応えるため、新たな設備を積極的に導入
- 主な用途
- 自動車/電気製品/ロボットなど
※選定基準:Google検索で、「モーターコア」及び「積層コア」と検索した際に表示される31社を調査(2022年4月11日調査時点)。その中から、下記の基準に沿って選出しています。
- 飯島精機…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、コストや個数に合わせて選択できる加工方法が最も豊富(4種類)
- 守谷刃物研究所…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、アモルファスとパーメンジュールの加工事例の掲載が最も多い
- 城山産業…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、最も大きな外径の製品まで対応してくれる
