モーターコアの基本
ここでは、モーターコアの材質や加工法、積層する理由など、知っているようで知らないモーターコアの「基本のき」をご紹介しています。
モーターコア(積層コア)とは
モーターコアとは、モーターを構成するローター(回転子)やステータ(固定子)の鉄心部分に当たる部品のこと。EVやハイブリッド車の駆動用モーターをはじめ、パソコン、家電製品、電気製品、ロボット等、電気で動く製品で、多くの箇所に使われています。
一般的には、金型を使ってプレス加工した電磁鋼板を、一定枚数を積層させて製造。積層している板材が薄くなるほど、モーター特性は向上します。
モーターコア(積層コア)の材質は?
モーターコアに使用される材質は、電磁鋼板が一般的です。薄い金属を重ねて、成形品を作っていきます。電磁鋼板は軟磁性材料の一種で、他の軟磁性材料に比べて多くの磁力線を通せる点が特徴です。
他にも、パーメンジュールやアモルファスなどもあり、コストや求める性能に応じて使い分けることができます。巻き線部は絶縁が必要なため、エポキシ樹脂等で塗装を施します。磁鋼板の板厚についてはt0.2㎜、t0.35㎜、t0.5㎜などが多く使われています。
試作から対応してくれるモーターコア(積層コア)会社は?
試作から対応してくれるモーターコアメーカーを調査。特徴と会社情報をご紹介します。
一口にモーターコアメーカーと言っても、試作1個から対応してくれる会社もあれば、小ロットの試作品には対応していない会社もあります。中には、図面が無くても対応してくれる会社もあるので、メーカー選びの参考にしてみて下さい。
加工方法は?
モーターコアは、プレス加工した電磁鋼板を、一定枚数積み重ねて(積層)作るのが一般的です。加工方法には、「カシメ積層(ダボ積層)」「レーザー溶接(溶接積層)」「接着積層」などがあります。
ここでは、モーターコアの3つの加工方法の特徴と、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
積層する理由は?
モーターコアは、薄い電磁鋼板を一定枚数積み重ねて(積層)作られています。積層する理由は、モーター、変圧器などの鉄心で生じる損失(鉄損失)を低減するためです。鉄損失の発生は電力の無駄となり、かつ振動や発熱を引き起こすため、数値が小さいほど高性能・高効率と捉えられます。
ここでは、積層を行う理由と、鉄損失が発生する理由とその対策についてまとめました。
納期はどのくらい?
モーターコアの納期は、製品の数や形状、メーカーの生産体制や設備などによって違います。このため、各メーカーも納期を明確に記載していない場合がほとんどです。
ここでは、「短納期に対応している」モーターコアメーカー14社をご紹介。納期に関する特徴をまとめたので、ぜひチェックして下さい。
ステータコアとは?
ステータコアは、モーターが回転するために必要な固定子であるステータを構成する部品の一つです。そのため、ステータコアの製造には正確な加工技術が求められます。この記事では、ステータコアの概要や製作依頼時の注意点を解説しています。また、モーターコア制作会社についても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
モーターコア依頼・施策に関するよくある質問
Q.モーターコア制作依頼の流れは?
モーターコアの生産をモーターコアを制作するメーカーへ依頼する、通常3つの流れがあります。
ひとつめは、「メーカー→受託型加工会社→モーダーコア制作会社」という流れです。メーカーだけでは設備や開発、製造などの生産が追いつかない部品などを受託型加工会社へ委託し、さらに委託型加工業者がモーターコアを専門に制作しているモーターコア会社へ外注するという場合です。
ふたつめは、「メーカー→商社→モーターコア制作会社」という流れです。大手自動車などに多いケースで、商流の関係で商社を通すことがあります。その場合、商社から各専門の加工業者へ委託されます。
最後が「メーカー→モーターコア制作会社」という流れです。ステータとロータを試作段階から製作できるモーターコア会社であれば、中間会社を通さないぶん、メーカーが望む商品を一括して効率的に作れます。
問い合わせから見積もり・納品までの流れ
- 1.図面送付
モーターコアメーカーへ見積もりを問い合わせる時は、図面も一緒に送るとスムーズです。事前に連絡を取り、メールにファイルを貼付するなど指定された方法で送ります。注文数量や材質などの加工条件、納期など確定している条件を伝えます。 - 2.見積もり
加工内容を書面やヒヤリングで確認後、納品予定日時なども含めた見積もり書が送付されます。 - 3.発注
見積もり内容を確認のうえ、問題点がないようであれば発注へと進みます。気になる点があれば、発注前に問い合わせてください。 - 4.制作
発注後、モーターコアメーカーでは生産工程へと進みます。モーターコアの用途やメーカーによって生産加工のシステムは異なりますが、一般的に生産管理システムは構築されており、全工程をリアルタイムで監視できるようになっています。できあがったモーターコアは測定などの検査がされます。 - 5.納品
検査が終わったモーターコアは、厳重に梱包されて納品されます。納品方法は相談して決めることが多いようです。
Q.モーターコアのVA/VE提案はできる?
VA提案については、材質や形状、数量などを検討したうえで機能性やクオリティを低下させずにコストを下げる提案をしてくれるモーターコア会社があります。
また、開発段階から依頼する場合でも、材質転換や工法転換、図面を変更するなどの方法でVE提案に応じてくれる会社もあるため、まずは相談してみましょう。
VA/VE事例
複数のプレートを積層したワークを配置して測定する3次元測定機において、従来の方法では測定の対象物が変更になるたびに測定の基準出しをしていました。そのため基準出しを行うごとに時間がかかり、その分のコストが上がっていました。
その無駄な時間を短縮するために、ワンタッチで測定機に取り付けられる治具を開発して測定時間の短縮、及びコストダウンを実現しています。
モーターコアメーカー
おすすめ3選
「小ロットで依頼したら断られた…」という会社のために、小ロット試作から量産まで対応しているモーターコアメーカーを厳選。なお、品質担保の観点から、国際的な品質マネジメント規格「ISO9001」取得済みの、信頼できる会社のみをピックアップしています。
コストや個数に応じて
適切な加工法を提案する
- 4つの積層方法から、求められるコストや個数に応じて加工
- 量産要望にも、工数を減らす金型でコストダウンへつなげる
- 主な用途
- 自動車/電気製品/ロボットなど
モーターの効率化に繋がる
難加工素材に対応する
- 加工が難しいアモルファスやパーメンジュールに対応
- 特殊鋼素材の調達ネットワークで用途に合わせた素材を調達
- 主な用途
- 航空機/モータースポーツ/医療機器など
豊富な設備を取り揃え
大型のモーターコアを製作する
- 外径1,300㎜までのモーターコアにも対応
- 顧客の要望に応えるため、新たな設備を積極的に導入
- 主な用途
- 自動車/電気製品/ロボットなど
※選定基準:Google検索で、「モーターコア」及び「積層コア」と検索した際に表示される31社を調査(2022年4月11日調査時点)。その中から、下記の基準に沿って選出しています。
- 飯島精機…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、コストや個数に合わせて選択できる加工方法が最も豊富(4種類)
- 守谷刃物研究所…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、アモルファスとパーメンジュールの加工事例の掲載が最も多い
- 城山産業…ISO9001を取得していてかつ試作品対応の会社の中で、最も大きな外径の製品まで対応してくれる